QLC(クアッド・レベル・セル)は、NANDフラッシュメモリのセルにたくさんの情報量を詰め込めるようにしたSSDの技術のこと
一般的な SSD である TLC(トリプル・レベル・セル)と比較して、総書込み量の限界が低く、平均故障時間も短い
しかも、ウワサによれば読みは早いけど、書きが遅いとかなんとか言われています
▼ウワサ
- 総書き込み量がすくない
- 書き込みが遅い
- QLC は安い
ホントにそうなんだろか?ということで、「Transcend SSD220Q」を購入して調べてみました
- ウワサ1:総書き込み量(TBW)がすくない
- ウワサ2:書き込みが遅い
- ウワサ3:QLC は安い
- どうして QLC を選んだの?
- 読み書きのスコアは問題なし
- おまけ:SSD の寿命は3つの要素から予測される
- まとめ
ウワサ1:総書き込み量(TBW)がすくない
Transcend SSD220Q(QLC) と、Samsung SSD 860 EVO(TLC) を比較してみました
SSD220Q | 2 TB | 1 TB | 500 GB |
---|---|---|---|
TBW | 400 TB | 200 TB | 100 TB |
容量とTBWの比率 | 200 % | 200 % | 200 % |
860 EVO | 2 TB | 1 TB | 500 GB |
---|---|---|---|
TBW | 1,200 TB | 600 TB | 300 TB |
容量とTBWの比率 | 600 % | 600 % | 600 % |
Transcend SSD220Q(QLC)は TLC と比べて 400 % もの差があるということが分かりました
よって、QLC は TLC よりも耐久性が低いのはホントでした
ウワサ2:書き込みが遅い
▼ORICO 2.5インチ HDDケース に入れて USB 3.0 経由で計測
SLC キャッシュが効いているので、外付けSSDの状態でも問題ない結果。よってこれはウソです
そもそもの話なんですけど、QLC の書き込みが遅くて SSD として使い物にならないのであれば、メーカーは販売しないんじゃないかな
SLC キャッシュは絶対に入れているはずなので、QLC だからといってメチャクチャ遅い!ということにはならないと思います
ただし、SLC キャッシュが切れた場合は地獄が待っていそうな気がします
つまり SLC キャッシュが効いている間は大丈夫です
ウワサ3:QLC は安い
QLC の製品数が少ないので、QLC が劣勢になりがちですが「TLC とほぼ同じような価格」です
グリーンハウス GH-SSDR2SA960 | エレコム ESD-ED0480GBK [ブラック] | サムスン 860 QVO MZ-76Q1T0B/IT | ADATA SV620H ASV620H-960GC31-CTI [ブラック] | トランセンド TS1TSSD220Q | |
---|---|---|---|---|---|
価格 | ¥9,980 | ¥5,040 | ¥10,980 | ¥10,980 | ¥10,900 |
容量 | 960GB | 480GB | 1000GB | 960GB | 1000GB |
1 GBあたり | ¥10 | ¥10 | ¥10 | ¥11 | ¥10 |
タイプ | TLC | TLC | 3D QLC | TLC | QLC |
よって QLC が安いというのはウソです
QLC が増えれば安くなるかもしれないね
どうして QLC を選んだの?
▼ Transcend SSD220Q ヨドバシカメラの通販で購入
新しいものが好きなことと、チャレンジングな自分の精神を抑えきることができなかったからです
というのはウソで、実はヨドバシ通販で安かったから(実購入価格:6,400円)
500 GB が 6,000円 くらいだったので 1 GB あたり12~3円。ヨドバシにしては安いなあと思って、なにも確認せずに買ってしまいました
外付けSSDとして使っていますが、いまのところ異常は見られません
当然ながら快調にございます
▼Transcend SSD220Q 簡易スペック
項目 | 詳細 |
---|---|
NAND | QLC |
容量 | 500 GB/1 TB/2 TB |
リード・ライト | 2 TB:最大 550/500 MB/s 1 TB:最大 550/500 MB/s 500 GB:最大 550/500 MB/s |
TBW | 2 TB:400 1 TB:200 500 GB:100 TBW |
MTBF | 200 万時間 |
DWPD | 190 GB (3 年) |
読み書きのスコアは問題なし
▼Crystal Disk Mark で SSD220Q を計測
USB 3.0 でPCへ接続して計測
公称値と差があるのは SATA 3 で接続していないからです
まあ USB で接続していることを考慮しても、けっこういい数字なんじゃないかなと思います
▼100 GB のデータを書き込んでみた
TBW が 100 TBW なので、もちろんビクリともしませんでした
ここらへんで Transcend SSD220Q の印象をまとめると…
良いところ
- 1 TB 以上の SSD220Q は、他の製品と比べて安価
- 使用している間は、TCL の SSD となんら変わりがない
悪いところ
です
ぶっちゃけ他の SSD と何が違うのか、スペック表がないと分からないことが最大の欠点かもしれません…
※2020年11月16日 追記:
Spectre X360 13 ap-0000 でも計測してみました
USB 3.0(type-A) | USB 3.0(type-c) | |
---|---|---|
リード | 458.357 MB/s | 454.489 MB/s |
ライト | 443.552 MB/s | 439.518 MB/s |
USB 3.0経由ならデスクトップでもノートでもほぼ同じ結果でした
USBをタイプ別にしたのは、好奇心
おまけ:SSD の寿命は3つの要素から予測される
IT用語を調べれば出てくる以下の3つを、SSD に当てはめて考えます
TBW(Total Byte Written)
SSDに書き込みが可能なデータの上限量のこと。上限値に達すると、その SSD は使用不可となります
MTTF(Mean Time To Failure)
機器を使用し始めてから故障するまでの平均時間のこと。これがいわゆる「劣化」に該当する項目です
MTBF(Mean Time Between Failures)
故障後、修理してから次に故障するまでの平均時間のこと。よっぽど高価な SSD じゃなければ修理ではなく交換するのが早いかも(海外ベンダーの場合は、修理に1ヶ月以上かかるというケースも)
もっとも大きなファクターを占めるのは、MTTF です
通電させているだけで劣化していくものなので、TBW が先にくるのか、それとも MTTF が先なのか??っていうチキンレースになるわけです
当然、QLC は TLC よりも MTTF や TBW が弱いので、使用不可になるまでの時間が短いわけです
まとめ
QLC の寿命が短いのかどうかについては、長いスパンで検証しなければなりません
とはいえ、現時点では TLC と変わりなく使えているので、もちろん現時点での評価は満点でございます
なんとなく嫌な予感もしなくはないので、また半年後くらいにレポートしたいと思います
おしまい。
Transcend SSD 500GB 内蔵2.5インチ SATA3.0 国内正規品 3年保証 TS500GSSD220Q
- 発売日: 2020/08/22
- メディア: Personal Computers